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2014年 07月 21日

相続と「成年後見制度」

ライフプランニング公式ブログ読者の皆さん、こんにちは!
マイアドバイザー®jp登録ファイナンシャルプランナーの浅川陽子です。

成年後見制度とは、認知症や、知的障害等の理由で、判断能力が不十分な方々を、保護し、支援する制度です。成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがありますが、今回は、「法定後見制度」と相続についてとりあげてみましょう。

「法定後見制度」では、本人、親族、市区村長等、一定の条件にあてはまる人が家庭裁判所に申し立てを行い、家庭裁判所により選定された「法定成年後見人」は、本人の代理で、契約等の法律行為ができ、また本人が行った不利益な法律行為を後から取り消すことができます。また、本人の判断能力が、「後見人」をつけるほど低下していない場合、「保佐人」、「補助人」が選定される場合があり、「後見人」とは、行える行為に違いがあります。

裁判所の「成年後見関係事件概況」によれば、平成2512月現在、法定後見人は143,661名、保佐人は22,891名、補助人は1,999名で、平成25年中の申し立手件数は 34,548件、そのうち後見は28,040件ありました。申し立ての理由(複数あり)で、一番多いのが、「預貯金の管理・解約」で約28,000件、その他では、「介護保険契約(施設入所)」、「身上監護」、「不動産の処分」「相続の手続き」「保険金の受取」などがあげられています。

 現在、日本の認知症の高齢者は300万人を超え、2025年には、470万人に達するといわれています。認知症の方の数に比べると、現在、成年後見制度を利用している人の数は、任意後見人もいれて16万人程度と言われており、利用率はかなり低いといえます。認知症の人を家族が同居して世話をしているような状況では、わざわざ、後見人をたてる必要性はさほど高くないのかもしれませんが、それでも、次のような状況になると、成年後見人をたてる必要がでてきます。

 認知症の夫の、弟が多額の借金を残し亡くなりました。弟には家族がなく、法定相続人は認知症の夫だけです。借金もマイナスの相続財産ですから、夫が相続することになります。ただ、この場合、相続の開始を知ってから3か月以内に相続放棄をすれば、夫は借金を背負うことはありませんが、夫は認知症で判断能力が不十分ですから、相続放棄という法律行為を行うことができません。そこで、妻が成年後見の申し立てをし、妻が後見人になり、夫にかわり相続放棄を行いました。このケースは実際にあった例として、裁判所のWEBサイトで紹介されています。

 上記のようなケースは稀かもしれませんが、相続が発生した時に、法定相続人の中に、認知症の人が含まれるというケースは、少なくないかもしれません。複数の法定相続人がいる場合、「相続分割協議」が必要になりますが、認知症の人に後見人(場合によっては保佐人、または補助人)が選任されていないと、「相続分割協議」をすることができません。

 また、子が親の後見人になっている場合、相続が発生した際、法定相続人が、子と、その子に後見されている親である場合、子と親は「利益相反」の立場にあたるため、相続に関して、子は親の後見をすることができません。この場合、成年後見監督人がいれば監督人に、監督人がいなければ家庭裁判所に「特別代理人」を選定してもらう必要があります。

 

 来年から、相続税が変わることもあり、相続への関心が高まっていますが、親族に認知症の方がいる場合は、将来、相続が発生した時に、相続手続きで後見人の必要が出てくることもぜひ、知っておいた方がよいでしょう。



by lifeplaning | 2014-07-21 00:00 | 浅川 陽子
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