2013年 03月 15日
共働き夫婦と遺族基礎年金
ファイナンシャルプランナーの浅川陽子です。
遺族基礎年金は、今まで、子、または子のある妻(将来にわたって年収が850万円未満)だけが支給対象になっていて、妻が亡くなった場合、子のある夫には遺族基礎年金が支給されることはありませんでしたが、平成26年4月以降に妻が亡くなった父子世帯にも支給されることになりました。
ただし、亡くなった妻が専業主婦で国民年金第3号被保険者の場合、子のある夫に遺族基礎年金は支給されません。また、夫の収入に850万円未満という制限もあります。
<共働き夫婦の1例>
会社員で、年収がそれぞれ400万円の38歳の夫、妻に、10歳と7歳の2人の男の子がいる場合で考えてみましょう。
夫が今、亡くなると、妻には、長男が高校を卒業するまでの8年間、約120万円、その後次男が高校を卒業するまでの3年間、約100万円の遺族基礎年金を受け取ることができます。受け取る遺族基礎年金総額は、約1,260万円になります。
さらに妻は夫の遺族厚生年金(40万円程度)を65歳までの27年間、次男が高校を卒業した後、中高齢寡婦加算として、60万円弱を65歳になるまでの16年間を受け取ることになります。ちなみに、65歳以降は、妻自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取ります。
つまり、子のある妻の場合、遺族基礎年金+遺族厚生年金+中高齢寡婦加算が支給されることになります。
一方、今、妻が亡くなった場合、子のある夫に対しては、遺族年金の支給はなく、子が高校を卒業するまで、遺族厚生年金(40万円程度)が子に対して支給されるだけです。
平成26年4月以降、妻が亡くなった場合、上のケースでも夫に対して、遺族基礎年金が総額で1,260万円支給されることになるわけです。
<共働き夫婦の保険>
共働き夫婦で、夫婦の収入にあまり大きな差がない場合、どちらかが亡くなっても、家計への影響が大きいといえますので、夫、妻ともにある程度の死亡保障が必要といわれています。
もし、子どものいる夫婦で収入がほとんど同じである場合、夫婦それぞれの死亡保障は、同じでいいかというと、実は、妻の保障を高くしておく必要がありました。なぜなら、妻が亡くなった場合と、夫が亡くなった場合では、支給される遺族年金の金額にかなりの差があったからです。しかし、平成26年4月以降、父子世帯にも遺族基礎年金が支給されることになれば、その分、妻の必要死亡保障額を減らすこともできることになります。
遺族基礎年金が父子世帯に支給されることになっても、まだ、夫が亡くなった場合の方が、遺族年金については有利になっていますが、このような不平等な状況も、今後、検討される可能性があるようです。