2015年 02月 16日
家族に認知症の人がいたら、こんな問題が ①
マイアドバイザー®jp登録ファイナンシャルプランナーの浅川陽子です。
私が参加している、福祉に関する勉強会での、今年度のテーマは、「認知症」です。家族に認知症の人がいた場合、介護の問題の他にも、いろいろな問題が起こる可能性があります。勉強会の方で、「家族が認知症かも?家族が知っておきたいこと、やっておきたいこと」というタイトルで主催したセミナーの内容を一部、来月と2回にわたり、ご紹介いたします。
<認知症は2025年に700万人 5人に1人が認知症>
65歳以上の認知症の方の数は、2012年で約462万人といわれています。さらに、MCIといわれている軽度認知障害の方は約400万人と推定されるそうです。MCIは、認知症ではないが、ある程度の記憶障害がみられ、5年以内での認知症の発症率は約50%とされ、「認知症予備軍」と呼ばれています。
また、最近、いわゆる団塊世代が75歳を迎える年、2025年の認知症の数は700万人を超えると、厚生労働省が推計値を公表しました。
だれでも、家族に認知症や認知症予備軍をかかえるという覚悟をしておく必要があるといえるでしょう。
<どんな問題が起こる?>
・消費者トラブル (悪質商法、契約トラブル)
・賠償トラブル 〈認知症の人が損害を与えた 交通事故〉
・その他 (金融機関、生命保険、相続 等)
<実際にあったお話>
① 1人暮らしの母の部屋を片付けに行ったら、部屋が羽毛ふとんの山。訪問販売で10件の契約を結び、総額340万円で、すでに320万円が支払われていた。
② 90代の1人暮らしの男性が、複数の業者と家の工事を10件以上契約して、総額で600万円を支払った。調べたところ、全て必要のない工事だった。
③ 認知症で、徘徊中に電車にひかれ死亡した男性の、妻に対して、名古屋高裁(2審)で、監督責任のある妻の過失を認め、鉄道会社に対して320万円の損害賠償の支払い命令が出た。1審では、妻と長男に対して720万円の支払い。
④ 1人暮らしの認知症の女性の家に、遠い親戚が頻繁に訪問し、お金を受け取るようになり、銀行にも同行して、口座から多額の現金をおろしたりしていた。
⑤ 借金を残して亡くなった弟の、唯一の法定相続人が、認知症の兄。相続放棄の手続きが、兄はできない。
<トラブルを避けるために>
2. 認知症は徐々に進行しますので、まだ、軽い(判断能力が少しある)うちにやれることをやっておきましょう。
①解約
契約を解約するには、本人の解約の意思が必要なので、まだ判断能力があるうちに、必要のない契約を解約しておく
②名義変更
契約者と利用者が一致しなくてもよいもの、例えば、携帯電話などは、契約者を家族に変更しておくと、後々、解約手続きがスムーズに
③消費者トラブルを避けるには
・クレジットカード、通帳、印鑑、キャッシュカードを手の届かない所において、とりあえず、支払ができないようにしておく
・クーリングオフ制度を知っておこう(訪問販売などは8日以内であれば、一方的に契約を解除できる ただし通販は不可)
・医師の「認知症」という診断書があれば、トラブル解決や救済につながることも
・消費者トラブルにまきこまれたら、「消費者相談センター」に相談。弁護士や専門家が仲介して、解決の交渉も。
認知症が進行して、判断能力が著しく低下した場合の「後見人」の活用、保険、相続等については、次回、取り上げます。