2009年 08月 31日
インドの食料品価格高騰と買占め
ファイナンシャルプランナーの大山潤です。
8月28日付のフィナンシャルタイムズは、インドの水不足が引き起こしている食糧価格高騰と、それを助長する食料品の買い占めに対する取り締まりについて報じています。
・インドでは酷いモンスーン酷いモンスーン(降雨不足)による食糧不足が起きている。
・インド政府は食糧不足に対してパニックを起こさないように消費者に訴えかけた。
・食糧品の買占めが発生している。
・食料品の買占めに対して、高騰する価格の鎮静化と市場への食料品の放出を目的に、マハラシュトラ、マディプラディシュ、グジャラートにおいて、数日間全面的な取締りを実施した。
インドと中国の水不足と食糧不足については、マイアドバイザーのコラムに書いていますが、この報道を見ると随分と深刻化している印象を受けます。
特に懸念されているのは、過去30年で最高値をつけた砂糖価格です。インドは世界最大の市場で世界第2位の産出国。
そして農業部門の低迷がインド経済全体とインド国民の所得に与える影響です。
・世界的な景気後退の影響共に、低迷する農業部門がインドの経済成長を事前予想の7%から6%へ低下されるだろうとPranab Mukherjee財務大臣がコメント。
・農業はGDPの17%を占めインド人12億人の2/3以上がその土地を生活の糧としていると見積もられている。
・インド準備銀行は、農業生産の低下は数ヵ月後にインフレーション圧力となると警告。過去一年間一貫して下落を続ける卸売物価指数とは裏腹に、食物インフレーションは10%の高水準を維持している。
また記事によると、インフレーションについて「異常なモンスーンの影響は、経済成長の予測以上にインフレーションの見通しに影響を与えるだろう」とインド準備銀行が年次レポートで述べているよう。
経済成長によって商品に対する需要が増えるより、降雨量の変動によって農産物の供給が不足する方が食料品価格の高騰に与える影響が大きいと見ているようですね。
そして私たちが意識しておかなければならないのが、Mr Mukherjee財務大臣の発言にあるようなことでしょう。
「夏の農作物の収穫高は15から20%低下したが、国はコメと小麦の十分な備蓄がある。政府はよりたくさんの輸入によって供給を確保するだろう。」
今のところ国内では、今夏の水害の影響を受けて野菜の価格が高騰していますが・・。